モーゼ・プロジェクト ×
イタリア北部の都市、ベネチアの冠水を防ぐ可動式防潮堤建設プロジェクト(モーゼ・プロジェクト)に当社製品が採用されました。 恒常的に海底に水没している構造物の塗料には非常に高度な防食性、防汚性、そして何より環境負荷が小さいことが要求され、これまで10年以上の歳月をかけ、塗料素材と塗装システムの評価を行った結果、防汚塗料(バイオクリン等)の塗膜性能が認められました。
モーゼ・プロジェクト
干潟の上に形成されたベネチアは、地盤沈下と海面上昇により近年、深刻な高潮被害に悩まされています。とりわけ潮流、潮位、風向き、降雨量の条件が揃う秋から冬にかけて、アドリア海の水位が1m以上上昇し、同市市街地が広範囲に亘って水没する事態が頻発しています。世界遺産都市ベネチアを守るため、イタリア政府は1980年代末より総額7,000億円規模の巨費を投じるプロジェクトをスタート。アドリア海とベネチア・ラグーンを隔てる砂州の間に防潮ゲートを設けるものですが、固定型の陸橋方式では景観を損ねることから、普段は海底に沈めておいて、必要なときに内部に空気を注入し浮上させるシステムが導入されることとなりました。78基の鋼製のフラップ・ゲート式可動堰を建造し、5年~10年おきに補修塗装工事を行い、同設備を100年間維持する計画となっています。
防汚塗料 バイオクリン
海洋環境の海水機器、諸設備に対する汚損生物の付着を防止する無毒・無公害の防汚塗料です。 表面張力の低いシリコーン系合成樹脂を複数の特殊な表面調整剤で変性し、これを塗膜要素とすることにより 表面構造が疎水ー親水のミクロ相分離構造となっており、イルカ、うなぎなどに見られる魚体表皮に類似した滑らかな表面を形成しています。この表面構造によって、汚損生物が分泌するタンパク質様の接着性セメント成分の凝固抑制、付着力低減、幼虫の滑落などを誘発し貝や海藻類の付着を防止することができます。このようにバイオクリンは、銅化合物や有機錫化合物等の重金属類を全く含有していない新しいメカニズムの環境保全に貢献する防汚塗料として高い評価を受け、国内外の発電所をはじめ多くの場所で採用されています。
特長
バインダーコートが不要で塗り替えも容易
専用の防食塗料エコマックスBiとの組み合わせにより、シリコーン系防汚塗料塗装システムに必須であったバインダーコートが不要となりました。
優れた防汚性
表面張力の低いシリコーン系合成樹脂を複数の特殊な表面調整材で変性し、これを塗膜要素とすることにより表面構造が疎水一親水のミクロ相分離構造となっており、イルカ・うなぎな どに見られる魚体表皮に類似した滑らかな表面状態の仕上げとなります。
工程短縮・コスト低減などが実現
4年耐用形バイオクリンECOとの組み合わせにより、これまで待望されていた究極の2回塗りが可能となり、多くの利益を生むシステムが完成いたしました。
環境保全性
揮発性有機化合物(VOC)の削減
バイオクリンECO・バイオクリンECO-2は、不揮発分を95%までに高めることに成功いたしました。しかも、TX(トルエン・キシレン)フリータイプのためPRTR法の規制対象外です。VOC削減のみならず、作業環境上のリスクも低減できます。
海中生物付着防止の無毒・無公害
銅化合物や有機錫化合物などの重金属や防汚剤を一切使用せず、塗膜の表面特性を利用した無毒・無公害形防汚塗料なので海洋を汚染しないため魚介類にも無害です。
※バイオクリン塗膜の表面張力は、20~30mN/mと低く、他の物質(例えば、水: 73mN/mなど)より低い物質を利用(表面張 力の差があるほど付着しにくい)しています。
用途
鉄鋼、コンクリート、SUS、チタン、アルミニウム、ゴムライニングの素材
主な実績として、電力施設のバースクリーン、循環水管、ロータリースクリーン、復水器冷却路(コンクリート)、海水クーラー、各種フィルター、復水器等があります。